パンピングの目的
パンピングはフォイリングを目指す上では必要不可欠なスキルです。浮き上がりをアシストする際に行うので「ボードを浮かせる」ことが目的のように思えますが、パンピングの真の目的はボードの「加速を促す」ことです。
もちろんボードスピードが上がることでフォイリングできるので、ボードを浮かせることがパンピングの目的といってもいいんですが、ボードを加速させる必要があることを見落としていると、パンピングをやっているのに全然フォイリングする気配がないということも十分起こりえるので、あえてこういう言い方をしてみました。
今回、内容としては入門編といった感じで、大きく3つのポイントについてお伝えしていきます。ウイング操作をある程度マスターして、いよいよフォイリングにトライしようとしている方や、パンピングの手順を再確認したい方には参考にしてもらえるかな?と思います。
ちなみにパンピングですが、風が足りない時はもちろん、強風時にも浮き上がりを早めるため行うことは多いです。というか僕自身はコンディションを問わずフォイリングに入る前には必ずパンピング動作をします。
風の強弱があったりうねりがあるようなコンディションでは効果的なパンピングができるかどうかでフォイリングできるかどうかが決まるような場合もあります。パンピングはウイングフォイルをさらに楽しむ上で避けては通れないスキルの一つなので、ぜひマスターできるようにトライしてみて下さい。
①ウイングのパワーをボードに伝えるイメージで
これはまあ当たり前のところではあるんですが、ウイングに発生したパワーをボードに伝えないとボードは加速してくれません。ウイングのパワーは乗り手を介してしかボードに伝わらないのですが、人間の体は柔らかいのでせっかくパンピングを頑張っても、そのパワーがボードに伝わらないことも往々にして起こります。
具体的には、
・腕だけでパンピングをしている
・パンピング的動作はしているがウイングにパワーが生まれていない(ウイングに手ごたえがない)
・ボードへの荷重(踏み込み)が無いorタイミングが合ってない
などが考えられます。パンピングを行う際は、ウイングが単にバサバサと動けば良いというものではなく、常にウイングにパワーがある状態をキープしてパンピング動作を行う必要があります。
パンピングをやってみて、どうもウイングに手ごたえがないというときや、腕の力だけしか使えていないと感じる場合は、少し腰を落として上半身が軽く前傾するようなフォームを心掛けるとよくなるかもしれません。
前傾の姿勢がとれると、上半身全体を使って大きな周期のパンピング動作ができるので〇です。風が弱すぎればウイングがスカスカすることは当然ありますけどね。
②ストラットは回転運動
特に微風時、ウイングサイズに対して風が足りないようなコンディションの場合は、ストラット(ウイングの持ち手部分)が回転運動をするようなパンピング動作ができると効果的です。
引き寄せる時は、ウイングが直線的に自分の体に近付いてこないように意識しながら「風をすくう」ように。
ウイングを引き寄せる時には素早く。ウイングがバサっと音を立てて羽ばたくような動きをしてればひとまずOK。ウイングにパワーがある状態をキープして一気に引き寄せることが大切です。
ウイングと距離を取る時は、引き寄せる時よりもゆっくりめに。ウイングを再び引き寄せる動作に入れるように、ウイングに風を入れながらウイングと自分の体との距離をとります。
↓の動画が図解?入りで非常に分かりやすいです。英語わからなくても、動画見てるだけでなんとなくは伝わると思います。動画の1:30あたりからの説明がわかりやすいかと。
前手&後ろ手の力の配分は基本的にイーブンです。後ろ手の引きつけが強くなりがちですがそうならなように、風に対するウイングの角度が変わらないように気をつけましょう。
③風速によるパンピングの使い分け
パンピングは風の強弱問わずいつでもやるんですが、「パンピングの仕方」は風の強弱によって変えることがあります。
パンピングの際は、ウイングの可動域が広ければ広いほどウイングにパワーが生じます。
特にアンダー時にはこの違いは顕著で、「大きな動作でパンピングできるかどうか」で浮くかどうか決まるようなコンディションも多くあります。
基本は微風ほど大きくゆったりした周期、強風ほど細かく小刻みに。
風がアンダーであれば、回転運動を意識しながら頑張ってパンピングします。回数は連続5~8回くらいを目安に。パンピングしてみて加速している気配がなければ、たぶん風が足りない状況なので、次のブローを待つかウイングのサイズチェンジを検討するのがよさそう。
風がジャスト〜オーバーの場合でも、浮き始めの際はほぼ必ずパンピング動作を行います。この場合無理に大きいパンピング動作を行う必要はなく、ウイングを軽く揺らすようなパンピングを2~3回やるだけで、浮き上がりまでの時間が大きく変わります。
吹いている場合は、ストラットの回転運動を意識しなくても大丈夫。あんまり大きい動作だとせっかくの風を取り逃しかねないので気をつけたいところです。
初めのうちは、今のやり方が正解なのか判断つきづらいと思いますが、とりあえずは「ウイングに常にパワーがある状態をキープできてるか」「パンピングでボードが加速しているか」あたりが目安になると思います。
今回は取り上げなかったですが、パンピングをもっと効果的にするための「ボードへの踏み込み」も組み合わせるとさらに浮き上がりは早くなります。
通称「ポンピング」と呼ばれるこのスキルについても、それなりのボリュームがあるのでまた次回まとめてみようと思います。