フォイルやウイングについての会話の中で「ハイアスペクト」(ハイアスと略されることもある)という単語よく使われますよね。
フォイル界隈ではよく使われる単語ですが、日常では見ない言葉なんで、正直あんまり意味が分かってない方も多いんじゃないかと思います。
初めて聞くよって方も、ウイングフォイルを長く楽しんでいこうとすると必ずどこかで遭遇する言葉なんで、今知っておいて損はないと思います。
ハイアスペクトウイング=縦横比が大きいウイング
「このフロントウイングはハイアスペクトだね」
ハイアスペクトというワードはこのような使われ方をします。↑の文を訳すると「このフロントウイングは縦横比が大きいね」ということになります。
縦横比というのは、ウイングの翼幅(スパン)と翼弦(コード)の比率のことを指しています。
↑こういう言い方をすると意味が分かりにくいですが、要するに
・ハイアスペクトウイング=縦横比が大きいウイング=細長い形状のウイング
ということになります。
ハイアスペクトの対義語はローアスペクトなので、
ローアスペクトウイング=縦横比が小さいウイング=ずんぐり形状のウイング
となります。
そしてアスペクト比は数値で表されるんですが、フロントウイングの場合、
・ハイアスペクト…7以上
・ローアスペクト…5以下
となっていることが多いような気がします。どこかで見かけた情報ですが、ジェット機の翼のアスペクト比は10くらいだそうです(たぶん、、)
あとこれは完全に余談ですが、アスペクト比の計算方法は「翼幅の二乗÷翼面積」で出ますので、もし気になる方は計算してみてください。
TAKUMAのハイアスペクトウイングである”kujira 1095″だと、翼幅が95.6cmで翼面積が1095㎠なので、
(95.6×95.6)÷1095=8.34…
ということでこのフロントウイングのアスペクト比は8.3くらいということになります。
ただほとんどのブランドがHPでアスペクト比公開してるので、そちら確認する方が早いかもです。(↑はTAKUMAのHPの例。HPが英語の場合はaspect ratioという表記とところで確認できるはずです)
今回はフォイルのフロントウイングを例に取りましたが、フォイルのテイルウイングや、手で持ってる方のウイングにもそれぞれハイアス&ローアスが存在するので、気になる方は調べてみてください。
ハイアスペクト形状の特性
ハイアスペクトという単語が何を意味しているかは大体わかっていただけたはずなので、ここからは、ウイングがハイアスであることでどんな特性があるのかをみていこうと思います。
グライド性能に優れる
フォイリング中にウイングから風を抜く(=シバーさせる)とすぐには着水せずに、惰性で少しフォイリングしますよね。
あの状態を”グライドしている”というふうに表現するんですが、フロントウイングがハイアスペクトであるほどグライド状態が長く継続するようになります。
鳥人間コンテストでも細長い翼をもった機体がよく登場してましたが、原理はたぶんあれと同じです。
グライド性能が高いフロントウイングを使うと、小さいうねりでも長く乗れたり、ポンピングでフォイリングをつなげたりできてきます。
風が抜けた時なんかにもスピードが落ちづらくフォイリングがキープできるので、うねりの無い海面であっても恩恵は大きいと思います。
一定以上のスピードが必要
ハイアスペクトであればある程、フォイリングするためには一定のスピードが必要になってきます。
一度浮いてしまえば、失速しづらいハイアスペクトウイングはフォイリングのキープは行いやすいですが、低速時の浮き上がりの早さという点ではローアスペクトウイングの方に分があります。
初級者の方でボードスピードの維持が難しい場合は、低速でもしっかり浮いてくれるローアスペクトウイングの方が練習が捗るかもしれません。
これまでエントリーモデルといえば、↑のような理由からローアスペクトウイングが主流でしたが、最近はgo foilのGT2200やtakumaのhellium1750のような「ミドルアスペクト」フォイルをブランドとしても推してきてるようなので「初級者=ローアスペクト」という訳でも無くなってきている印象はあります。
ミドルアスペクトウイングのいいところはやっぱりトータルバランスの良さで、上達してからも十分楽しめるウイングである場合が多いです。
フロントウイングに関しては、アスペクト比5〜6点台がミドルアスペクトに該当しそうですね。
ウイングの特徴はアスペクト比だけでは決まりませんが、アスペクト比の違いを理解しているとそのウイングをパッと見ただけでなんとなく特徴が分かるので便利です。
覚えておいて損はないですよ。