ウインドサーフィン界の新たな流れ
SeaYouがある甲子園浜は「水深が深い」「微風・中風の風が多い」などフォイルを楽しむことに適したゲレンデであり、全国的にも有数のフォイルゲレンデとなっています。
フォイルが出始めの頃は、変わった遊び程度にしか思われていませんでしたが、現在のフォイルシーンを見ると、”フォイルスラローム”や”フォイルフリースタイル”、”フォイルフリーライド”のように、既存のウインドサーフィンの楽しみ方に、フォイルがうまく馴染みながら発展していることがわかります。
フォイルの登場で、ライトウインドが最高のコンディションとなった今、フォイリングの流れは一過性のブームにとどまらず、さらに進化しながら今後のウインドサーフィン界に深く根付いていくでしょう。
フォイルの流れに乗り遅れたと感じている皆さん。決してそんなことはありません。ウインドサーフィンを始めることに早い遅いが無いように、フォイルを始めるのに遅すぎるなんてこともありません。
フォイルはもはや”流行り”ではなく、ウインドサーフィンの支流の一つとなっています。いつでも、誰でもチャレンジできる環境が整っています。
”フォイル”の構造
今回”フォイル”の選び方を紹介する前に、まず基本となるフォイルのパーツについておさらいしておこうと思います。
・マスト(ボードとフューサレジを繋ぐ)
・フューサレジ(胴体)
・フロントウイング
・リアウイング
フォイルはこの4つのパーツから成っています。
マスト
素材はカーボンとアルミの2種類。一般的にマストがカーボン製であれば”カーボンフォイル”、マストがアルミ製であれば”アルミフォイル”と呼ばれます。
カーボンマストは適度に「しなる」ため、ボード上で多少バタついてしまっても水中のウイングが影響を受けにくいというメリットがあります。
フューサレジ
フューサレジは一部カーボン製のものもありますが、アルミ製の場合が多いです。フューサレジが長いほど「浮きやすく」かつ「高度を維持しやすく」なります。ただ、強風の場合は「浮きすぎ」と感じることもあります。
アップ・ダウンを繰り返すコースレースでは、フューサレジが長い方が好まれます。限界近く上り&下りの角度をとる場合はセイルパワーが不足するのですが、その分長いフューサレジが浮き続けることをサポートしてくれます
フロントウイング
フロントウイングは、揚力発生のメインを担うパーツです。ウイングの厚みが薄いほど「揚力は小さく」「高速」に、ウイングが厚ければ「揚力は大きく」「低速」になります。
リアウイング
リアウイングは、フォイルの垂直方向の安定性を保つためのパーツです。いくつかのフォイルはリアウイングの角度を調節でき、リアウイングに角度を付ければ「浮きやすく」「低速」になり、水平に近づけていけば「浮きにくく」「高速」になります。
選び方
ウインドサーフィンの道具全般に言えることですが、自分がどんな楽しみ方をしたいのかによって道具を選ぶというプロセスが大切です。
フォイルの楽しみ方は人それぞれですが、今回は4つのタイプに分けておすすめのフォイルを紹介していきます。
スピードよりもフォイルの浮遊感を楽しみたい
フォイルで浮きながら走ることはもちろん、フリースタイル的な動きも楽しみたい方には、
・フロントウイングは厚く、面積大
・フューサレジは短め(~80cm)
がおすすめです。高揚力のフロントウイングを使うことで低速でも浮き続けることができます。セイルパワーがそれほど無くても浮ける点で、小さなセイルとの相性が抜群です。これまでは見向きもしなかったようなコンディションでも、5.0のセイルで1日遊べます。
より弱い風から走り出したい
これまでのウインドサーフィン・プレーニングの延長として、風速4~5m/sの風でフォイルを始めたいという方には、
・フロントウイングは厚くないもの
・フューサレジは長め(90cm~)
がおすすめです。風速が3~4m/sあれば、これまでならプレーニング出来なかった7点台のセイルでもフォイルを使えば十分楽しめるようになります。
これまでのウインドスタイルと似たイメージでフォイルを楽しむためにも、ウイングが厚すぎない、スピード(セイルパワー)を揚力に変えるタイプのフォイルがおすすめです。
フューサレジは長めだと、上り性能や高度維持性能が増すため微風での使用を想定している方にはおすすめです。
安全にかつスピードも求めていきたい
PWAでは2020年シーズンからフォイル&フィンの混合でスラロームレースが開催され、その流れを受けて、日本でもフォイルスラロームの気運が高まってきています。
レース出場も視野に入れてスピードも楽しみたいという方には、
・フロントウイングは薄め
・マストはカーボン製かつ長め(90cm~)
・フューサレジは長め(90cm~)
・リアウイングが調節できるもの
がおすすめです。ウイングが薄いことでよりスピードが出しやすくなります。また、フォイルに十分なプレッシャーをかけるためにもマストはカーボン製が望ましいです。
リアウイングが可変式になっているものは多くはありませんが、風域によって角度を適切にすることで浮き具合とスピードのバランスが取りやすくなるためおすすめです。
フォイルの始め方
セイル、ボードは?
近年ファンフォイリング人気の高まりを受け、各ブランドともフォイル専用ボードやフォイル専用セイルを開発しています。
もちろんフォイル専用の方が楽にフォイリングを楽しむことができます。
ボードならテイル幅やジョイント位置、ストラップ位置、ノーズロッカーなどがフォイリングに適した仕様になっています。
セイルならパワーポイントの位置、全体的な軽さ、短めのブーム長など楽にフォイルを楽しむための作りになっています。
揃える順番はフォイル→フォイル用ボード→フォイル用セイルという流れが一般的です。是非予算に応じて購入を検討してみてください。
既存のボードをフォイルで使用する場合には、フィンボックスがフォイルに対応しているかよく注意する必要があります。
ヘッドにプレートが付いているタイプのフォイルであれば、フィンボックスがフォイル未対応であっても使用可能なので、既存のボードをそのままフォイルにも使用したい場合にはおすすめです。
※ただしフォイル未対応ボックスでのフォイリングはメーカー推奨されておらず、ボックスが破損する可能性もあります。フォイル未対応ボックスでのフォイリングを検討している場合、事前に販売店等でアドバイスをもらうことをおすすめします。
フォイルの乗り方は?
フォイリングしている時の乗り方は、普段のセーリングフォームとは多少異なります。youtubeにもフォイルの乗り方に関する動画がアップされているので、初めて乗る前に予習しておくことが大切です。
始めは、
・ハーネスを掛けない
・ストラップは前足だけ
・セイルを閉じすぎない
このポイントを頭に入れた上で、離水→着水の反復練習から始めてみましょう。
また、安全面に関しても通常のセイリング時に比べ気にかけるべき点が増えるので、可能ならフォイル経験者のアドバイスをもらうようにしましょう。
安全に関して
・沈する時はブームを離さない
・ウォータースタートをしない
・ヘルメットやインパクトベストを着用する
・慣れるまではタックを行う
・慣れるまではセイラーが少ない場所で練習する
などを徹底すると怪我なくフォイリングを楽しむことができます。
フォイルは決して上級者だけのものではありません。ハーネスが使えるようになってプレーニングの練習中というレベルの方なら、十分フォイルにも挑戦できます。
あまり難しく考えすぎず、思い切ってチャレンジしてみましょう。
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